ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のこと

さて、映画「メッセージ」について書きましたが、

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の話題について、もう少し書いてみたいと思います。

僕が初めて観た彼の映画は、「プリズナーズ」です。

(映画館ではなくて、レンタルビデオですが)

Xmenのヒュー・ジャックマンが主演してるっていうので、借りたわけですが、

これが度肝を脱ぐ傑作でした。

幼い娘が、誰かにさらわれて行方不明になってしまいます。

ヒュー・ジャックマンが、その娘の父親役をやっているんですが、

娘への愛情ゆえ、狂気に走る男を演じています。

その演技が、本当に背筋が寒くなるほどでした。

さて、次に観た映画が「ボーダーライン」

麻薬ルートを捜査するFBIの女性捜査官の話なんですが、

これも、まれに見る大傑作でした。

次に何が起きるか分からないまま、主人公の女性と一緒に

危険地帯を連れ回されるようなリアル感があります。

(実は、1回観ただけで、物語の細かな内容が分からずに、ネットで解説を読んで、

ようやく納得しました。)

ただ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作る映画って、どれもこういう傾向があって、

映画を1度観ただけでは、すぐに物語の内容が完全に理解できません。

「メッセージ」にしても、

事前にテッド・チャンが書いた原作小説「あなたの人生の物語」を読んでいたから、

多少は映画の内容が理解できたのものの、

原作を読んでなかったら、すぐに分かりにくい映画だったと思います。

でも、彼の映画というのは、その「説明しすぎない」ところが、実は魅力なんですよね。

余分な、不必要なものはそぎ落とされて、それだけ映像が簡潔でシャープになっている。

言い替えると、映画を観る人に考えさせたり、推測させたり、想像させたりする。

その隙間が、あらかじめ組み込まれて作られているってことですね。

自分の作った作品を、2回も、3回も、繰り返して観てほしいってことなんでしょうね。

現在、彼は「ブレードランナー2049」を作っているところで、

この秋には上映になります。

あの傑作「ブレードランナー」の続編が、どのような映画になるのか

今から楽しみでなりません。