先日書いたように、内田樹の「構造主義」をパラパラとめくりつつ、実は中原清一朗の「カノン」も、同時にめくり始めました。
中原清一朗は「外岡秀俊」の別名で、大学時代に「北帰行」を書いている作家です。朝日新聞社の記者を退職して、本格的に小説の執筆に取り組んでいます。
で、「カノン」ですが、ガンで死期を間近に迎えた初老の男と、30代の女性の海馬との、交換移植するという話です。
僕はよく知らないのですが、人間の記憶の中枢は、この「海馬」にあるそうなのです。それで、若い女性の中に入った初老の男性の海馬が、新しい体に、どのように順応していくのか(順応しないのか?)が、話の中心となります。
物語を丁寧に、実に懇切丁寧に進めていく描き方は、「外岡氏」のまじめな人柄を表しているなあと、そんな感慨を抱きながら読み進めているところです。
それにしても、海馬の移植なんて、すごい発想の小説ですね。人間の記憶とか、人格って、いったい何だろうなあと、そんなことを考えて、途中、息が止まってしまうような苦しさを感じました。
すごい小説です。
そんな日々を過ごしています。
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