「独立器官」読みました

ちょっと気を抜いている間に、前の記事アップから2週間も過ぎてしまいました。 油断できないですね(笑)光陰矢のごとしだな・・・ さて、村上春樹の新作短編「独立器官」読みました。 今回は、作家の「谷村」が語り手として登場し、知り合いで美容整形科医の「渡会」と、その秘書から聞いた話を、いわば「聞き語り小説」として描いています。 どうして、そんな「聞き語り小説」の構成を取らなければならなかったのか。もしかすると、そこが、今回の小説のポイントなのかもしれませんね。 話は、その渡会医師が、それまでは複数の女性と同時に交際を楽しんできたのが、年下の人妻に本当に恋をしてしまい、実は、その女性から、まんまと二股をかけられて、だまされてしまいます。その結果、「拒食症」というよりは、自ら「拒食」という手段で自死していくまでの経過を描いています。  もともと、複数の女性と軽くつきあうことを旨とするという生き方も、やや軽率というか風変わりですが、50も過ぎて、年下の人妻に本気で恋をしてしまうという展開も、あり得ないこと。さらに、だまされていたことを知った渡会医師が、自ら拒食によって死んでいくという結末も極端。そういった、あり得ない話を、リアルに見せるために、「聞き語り小説」の形態をとったのかなと、僕なりに分析しました。 話としては、おもしろくて、グイグイと読まされますが、読後には、「ほんまかいな」と、様々な疑問がわいてくる話です。 それにしても、「女はみんな、嘘を平気でつく独立器官を持っている」という結論も、ちょっと横暴かもね?(笑)