「ジブリの教科書」が楽しめる

 文藝春秋から、文庫本で「ジブリの教科書」シリーズが、昨年から発行されています。今のところ「ナウシカ」、「ラピュタ」、「トトロ」、「ホタル」、「宅急便」などが刊行されています。

 文庫本ではありますが、一流の評論家や批評家などの鋭い分析があったり、作品の制作のに携わった当事者たちのコメントもあったりして、とても内容が充実しています。

 僕は、「ナウシカ」、「ラピュタ」、そして現在「トトロ」を読み進めているところですが、巻頭にある「あさのあつこ」氏のコメントがなかなか楽しめました。

 あさの氏は、この作品を「大いなる肯定の、最上の児童文学の、少女の解放の物語。それが『となりのトトロ』なのだ。サツキは、トトロによって解放された」と記しています。

 メイが行方不明になり、サツキが、トトロの胸の上で「どうしたらいいか、わからないの」と弱音を吐いて泣き崩れる場面があります。このときに「サツキは解放された」のだと分析しています。

なるほどと頷いてしまいました(笑)。

さすが作家の分析はなかなか鋭いです。

 

 ところで、この企画が動き出す前、鈴木プロデューサーが、宮崎監督の「となりのトトロ」と高畑監督の「火垂るの墓」の二本立てで作品を作ろうと考え、当時の徳間書店の山下副社長のところに話を持って行ったら、「トトロがオバケで、今度は墓か?オバケと墓とは何だ!」と、こっぴどく怒られたそうです。

今だから、笑える話です。